1.両軸遠投かご釣りに、なぜPEがあまり使われないの?
こんにちは! 一平です。
遠投かご釣り用、両軸竿の長さは最低でも5m以上あります。真鯛などを釣り上げるときには、ハリスが長いので抜き上げが容易なためということもありますが、何より遠投するために竿の長さは重要です。
しかし、一平のような非力な釣り人は、5号や6号のナイロンの道糸を両軸リールに巻いて投げても、よく飛んで80~90m位です。80mも飛べば十分ではないかとおっしゃる人もいるでしょうが、この時は飛ばすカゴ全体の重さが天秤やウキも含めて75g~
85gほどもあるのです。カゴ釣り競技大会では、上位入賞者の投げるかごの重さは約
120gあります。重い方がよく飛ぶからです。
しかし、一平は40~50gのカゴとウキを80m飛ばしたいと思っています。
なぜなら、オモリは軽い方が良く釣れるからです。
「遠投カゴ釣りしま専科」によれば、8号(30g)と15号(56.25g)のカゴで釣り比べを
すると、間違いなく8号カゴの方が良く釣れるそうです。
これは魚に掛かる負荷が大きく違うからだと考えられています。以下『 』は引用文です。
『ウキで浮かしていればカゴの重さが変わっても魚に掛かる負荷は変わらないのでは?
と思われるかもしれませんが、それは違います。確かに下方向への負荷は変わらないと思いますが、上方向になればなるほどカゴの重さが魚へダイレクトに伝わります。負荷が大きくなればなるほどカゴは動かし難くなり、それはウキのアタリへと現れます。また、抵抗が大きければ魚はエサを飲み込まずに吐き出すとも言われています。
これの真偽はわかりませんが、カゴが重くなればなるほどウキのアタリが分かり難くなることは確かです。』とあります。
従って、非力な一平としては、50gのカゴとウキをを80m遠投できる方法を検討したいと思っています。
ショアジギングや投げ釣りでは、ほとんどがPEを使用しています。いろいろな利点がありますが、その1つは飛距離です。ナイロンやテトロンを巻いたよりもはるかに飛ぶからです。
そこで、両軸リールに、PEの糸3号を巻いて投げてみました。
実験は、2021年12月3日、いつもの投げ練習用の池で試し投げをしました。
タックルは、遠投両軸竿(磯遠投EV4-52)5.2mを使い両軸リール(Abu6500CL)に3号のPE(メーカー名不明:過去に買ったものでメーカー名を控えてなかった)を巻いて、渚の遠投師製オモリ約60g(正確には58gですが天秤の重さを加えて)の遠投かごを投げてみました。なおこの時のショックリーダーはナイロン6号で長さは5ヒロとしました。
- 力を入れて投げると、思ったより飛んで、飛距離は70~75m位でした。
- しかしながら、10回の内1回はバックラッシュして、1回は、何番目かのガイドに引っ掛かかったのか、カゴが池に落下しました。手に衝撃があり、一瞬何が起こったのか分かりませんでした。
- なんだか竿先が壊れそうで嫌な気分でしたが、さらに10回投げてみました。
今度はPEの滑りをよくするために、PEコートスプレー(大藤釣り具製作・シリコンの保護膜を形成するためのもの)で、リールの上からスプレーして、投げました。
やはり10回の内2回、手に衝撃があり、カゴは池に落下しました。
道糸がナイロン5号か6号なら、バックラッシュした後に糸がスプール内で絡んで切れます。今回はどうもPEが竿のガイドに引っ掛かってカゴの動きを止め、それからバックラッシュしたように思われました。なぜならバックラッシュの程度が思っていたよりもずっと軽かったからです。
12号程度のカゴ(重さ70~80g)を投げて、まともにバックラッシュをしたら、もつれを
解くのは無理ですね。糸を切るしかありません。今回はオモリが軽かったのも幸いしたのかもしれません。
一平は、ずっと両軸リールを使ってきていますが、今回は手元で糸が絡んだ時の感覚ではなく、もっと竿の先端の方で糸が絡み、カゴが池に落下したと感じました。
現在は、ナイロン6号を巻いて投げたなら、20回投げてもまず1度もバックラッシュすることはありませんので、その原因を調べてみました。
まず、PEの糸をキャストした時、PEはどんな動きをするかを調査しました。
一番衝撃を受けたのは「富士工業公式 You Tube チャンネル」の「Kガイド誕生」の動画を見た時でした。糸が出ていく様子を高速度カメラが克明にとらえています。
一平はPEを使って遠投かごやメタルジグを投げた時の糸の挙動は、図―1のような形をしていると思っていました。
しかし実際にはPEの糸は、図―2で示すように、ガイドとガイドの間で暴れまくっていました(笑)
これらを見て、遠投かご釣り用両軸リールにPEを巻いて使うのは容易ではないと直感しました。なぜなら、両軸遠投竿には、スピニング用竿よりも多くのガイドがついており、しかも先端の方のガイド径は極端に小さいからです。(「晴れ、とっきどき釣り」第36回を参照ください)
確かに20回の内、16回はうまく投げられたのですから何とか工夫すればうまく投げられ
るようになるのかもしれません。
しかし、こんなにも糸がガイドの間で暴れるのであれば、糸がガイドに絡みつくのは当たり前ですね~。もちろん、投げる時のルアーが非常に軽いか、重いかでPEの動きも変わってくるし、風の影響もあるのでしょうが、いずれにせよ一平が思っていたよりもPEは直線的には放出されていなくて、くねくねと暴れていました。
両軸リールはスプールが回転して糸を送り出す構造となっていますので、糸が緩んだところに後の糸がどんどん送り込まれてくれば、バックラッシュは避けられないのではないかと思いました。
構造的にみて、両軸リールでは道糸が少しぐらい太くても飛距離はあまり変わりません。
遠投かごを投げた瞬間からスプールに回転を与えてこれが糸を送り出すからです。そして、竿を振った時のエネルギーがスプールを回転させるのに使われるので、軽いオモリではあまり飛距離は出ないということになります(もちろん、オモリにもエネルギーは与えられています)
それに比べてスピニングリールでは、オモリが糸を引っ張って飛んでいくので糸の軽さ、細さは飛距離に大きく影響します。
従って、遠投かご釣りにおいてPEの糸を使うのは、両軸リールの構造から見てあまり得策ではないと考えられます。両軸遠投かご釣りでは、腰の弱いPE糸よりも硬くて腰の強いナイロン糸の方が適していると考えられます。
現在は、投げ竿やルアーフィッシング用の竿はすべてPEが中心になっていますが、それらの竿はどれも2ピースのロッドで、ガイドが竿に固定されている理由がやっと実感できました。しかも一部の竿は、つなぎ目に印を入れてキッチリと2本の竿をつなぎ、ガイドがズレないようになっています。振出竿では、現地で一直線上にガイドを並べるのが難しいからです。
ガイドが少しでもずれると暴れる糸がさらに複雑な動きをして、糸がガイドにもっと絡みやすくなるからです。
ルアーロッドは、全長はせいぜい4mと短いのですが一本分は長くて、竿袋に入らなくて持ち運びに非常に不便ですが、我慢するしかありませんね~(笑)
もちろん投げ竿やルアーロッドは、PEを用いて投げるために様々な工夫がされています。
糸がらみを防ぐための、KW、LC,RVガイドや竿のしなりに応じたガイドの配置、最適数など、多くの研究がされてきているようです。例えば3.65m~4.25mまでの投げ竿は、7点ガイドが最も効率が良く飛距離も出て、それ以上にガイドを増やしても飛距離はアップしないそうです。
一例として、図―3、図―4に、Kガイドの変遷を示します(富士工業株 公式ホームページ ロッドのガイド基礎講座より)
しかし、この方法ではガイド自体に角度をつけるので、糸通り性能が低下したり、ロッドアクションが、ぎこちなくなる等の欠点がありました。
そこで図―4のような方法が考案されました。
これにより、ガイドは非常に糸絡みのしにくい構造となり、今ではいろいろな竿に使われています。
さて、5.2m~6.2m位の両軸遠投竿でPEを使った時、どのようなロッドシステムが良いのか、一平にはまだよく解りません。柔らかいロッドもあれば硬いロッドもあり、しかも竿は長いし、ガイド数も多いし、ガイド径も小さいので解析も難しいのではないかと思います。
また遠投竿と言いながら、2ピースロッドに使われているような例えばKガイド等がなぜ
使われていないのか不思議です。初めからPEを使うコンセプトにはなっていないからでしょうか。
しかし、いい竿が開発されたとしても、現状でも両軸遠投竿は非常に高価なので、更に高価になっては、手が届きませんね~。
どうしてもPEを使いたいのであれば、ロッド内にラインを通すインターラインロッドもあります。余談ですが、シマノはインナーガイドロッド、ダイワはインターラインロッドと呼んでいます。
例えば、シマノの遠投竿は
① ブルズアイ遠投PK(スピニングリール用) 2.5~5号 すべて5.2m長さ
② ブルズアイ遠投RP(両軸リール用) 4号のみ 5.2m、5.7m、6.2mの3種類
③ ブルズアイ遠投SI(スピニングリール用) 2.5~5号 すべて5.2m長さ
があり、③がインナーガイドロッドです。
平磯海釣づり公園でも、インターラインロッドに少し改良を加えて、PEを使っているH氏のような人もいます。その理由は何と言っても
- 糸が細くても強度があり、飛距離が出る
- 釣れた時の手ごたえ、感度が抜群に良い ですね
しかし、この場合でもH氏は15号のカゴを投げているので、おそらくカゴ全体の重さは、90g以上あるのではないかと一平は思っています。一平の体力では一日中振り回すと、ぐったりです。
インナーガイド式では、思いきり投げても糸がガイドに絡まる心配がないので安心です。
しかし、ラインを通すのに専用ワイヤーが必要だったり、メンテでロッドの中を洗う面倒があったり、ショックりーダーの結び目や糸が、竿の内部で抵抗になるので飛距離が落ちるという欠点があります。やはり、80m以上飛ばすには相当の腕力が要りそうです。
さて、PEを使うには以下のようなデメリットもあります
- キャスト直後は、空中のラインが風に流されるし、水に浮いた時も風の影響を受けて釣りずらい
- 遠投する場合、糸がタカ切れするのでショックリーダーが必要
- ウキや、より戻しにラインが絡むことがあったり、隣の釣り人と糸が絡まると解くのが大変です。
- とにかくバックラッシュが起こるともうパニックです。
ここまで来て、『いや、待てよ!!』 と思いなおしました。
2、新しいコンセプトのカゴを考案
40~50gのカゴとウキを80mも飛ばしたいと思ったのはなぜだ!
オモリが軽い方が良く釣れるからです。
それならば「PEや竿でなく、カゴを工夫すれば良いのでは?」と考え直しました。
すなわち、「投げるときは80gの重さがあって遠くに飛ばし、水中では30~40gの重さになるようなカゴを考案」すれば良いのではと、初めて本気で考えました。
現在、渚の遠投師製12号の遠投かごは、68g (オモリ18号相当)ですが、水中では浮力が
27gあり、水中での重さは41g (オモリ10.9号相当)です。これに約1号相当の天秤を加えると 11.9号=約12号 の遠投カゴ となっています。(晴れ、とっきどき釣り第64回)
この考え方をもっと積極的に利用すればいいのではと思いつきました。
PE特有の釣れた時の手ごたえ、感度には少し目をつぶることにしよう。
現在60gの遠投カゴを約20g程度増やし、この20gの重さが水中で0gとなればOKです。従って、全体でのカゴの水中での重さは当初のままの40g程度にしたい。
いや、水中でのカゴの重さはさらに軽くして、約20~30g(オモリ6~8号相当)にすればもっと良い。一からカゴを作るのは旋盤も必要だし大変なので、できるだけ市販品を流用したい。
新しいコンセプトのカゴが作れそうだ。
いろいろ考えていると、なんだか急に元気が出てきました。
またまた、パソコンとにらめっこ、釣り具屋とホームセンター、ダイソーめぐりが始まりました。
それを次回で報告します。
一平は、解析したりアイデアを出すことは得意なのですが、手はあまり器用ではありませんので、試作品作りはたいへんです。
2021年12月30日
コメント
一平さま
先日、24日に平磯でお会いした三浦と申します。
楽しみにしていたブログが更新されていたんで、すごく興味深く読まさせていただきました。相変わらずの研究ぶりに頭が下がります。ありがとうございます。
確かにPEではなくナイロンのほうが適切であることが、よーくわかりました。
かごは重くて細長いのがいいのかなと思いますが、浮きのように自作できず、なかなか選択できないのが現状と思います。これからの研究成果を期待しています!!次回のブログをお待ちしています。お疲れ様です^^!!
三浦さんお元気でしょうか。
実はあの日、魚への負荷を軽くする新しい発想のカゴを試していました。
次か、その次のブログ(第70回)で紹介したいと思っています。魚への負荷を軽減する目的で、
ウキを削って使う三浦さんの方法もいいですね。
また、平磯海釣づり公園でお会いしましょう。 一平
最近かご釣りに興味を持ちいろいろなブログをめぐり情報収集しています。
もともとキスの遠投釣りをしていて、PEの飛距離が優位にあると考えており、
かご釣りでもインターラインロッド+PE3号が良さそうだと感じています。
投げ釣りではPEラインに25mごとの色分けがあり、自身の飛距離が分かるようになっていますが、かご釣りの方はどうやって飛距離を把握されているのでしょうか?
お時間あれば教えていただけると幸いです。
カワカミさん
距離測定は、実践では70m、80m、90mのところにウキ止め糸を結びつけています。
ブログ書くときの測定では、ゴルフの距離測定に使われるFineCaddie j300ゴルフ
レーザー距離計(FINEDIGITAL公式ショップ)を使います。
一平